まつをのラジオ:セックス

「こんばんは!あけましておめでとうございます!新年はまだフェラ動画でしか抜いていないまつをです!」
「まいまいだよ〜、今年もよろしくね!☆」
「いよいよ2017年になりました!年末年始は何をしてましたか?」
「筆下ろし!」
「?!」
「お習字してたの!今年に新しい気持ちで向き合いたくって。そっちは?」
「僕は筆下ろしされてましたね…」
「?!」
「つぼみさんの筆下ろし作品は最高」
「でも結局口淫でいっちゃったんでしょ?」
「その通りですね」
「なさけな…」
「さてさて、今日のテーマは『セックス』です!まいまいはセックスについてどう思いますか?」
「質問内容が漠然としすぎ。デリカシーなさすぎ」
「すみません、改めますね…まいまいの初体験はいつですか?」
「14」
「かーっ!あっあっあっ!最高!14才のまいまいのセックス!ああ!」
「帰っていい?」
「すみません取り乱しました。お相手はパパですか?」
「…」
「違うんですか?!」
「それは、伸びた髪が首に張り付くような湿気の多く居心地の悪い夜だった。冷房の効いたところへ、と友人に誘われて行ったカラオケで1人ソフトドリンクを取りに行く途中、すれ違った男に無理やり部屋へ引きずりこまれたのだ。そう、303号室。刃物を見せ付けられて声も出せなかった私はソファーに押さえつけられて、見ず知らずの男が鼻息を荒くしながらカーディガンのボタンを外していく。硬直した身体をシャツの上からなぞる男の指先が」
「突然一人語り始めないでください…」
「まあそんな感じだったよ☆」
「それは大変でしたね…警察には通報しなかったんですか?」
「動画撮られてたの。漏らしたらネットに晒すぞって」
「うわぁ…それからは大丈夫だったんですか」
「もうそのカラオケには行かないようにしたし、何もなかったよー♪」
「辛いことを思い出させてしまいましたね…ところで、僕が読んでいる官能小説と内容がとても似てますが」
「てへっ☆まつをさんの初体験は?」
「13ですね」
「えええ!」
「当時チェーンメールが流行ってて。僕のところにも来たんですが、その本文下部に18禁サイトへのリンクがあったんですよ。それを踏んでから人生が変わりました」
「???」
「まいまいにとってセックスってなんですか」
「身体を通して心を繋ぐ行為かな」
「セックスには心があると」
「そう。セックスは自慰じゃないから、自分が気持ち良ければオッケーじゃないの。快楽を共有すること。身体を一つにすることで、心も触れ合えるって信じてるよ」
「ふかい…」
「童貞さんにはちょっと難しかったかなー?☆」
「絶許」
「今日はお手紙きてないねー」
「そうですね!そろそろお開きにしましょう!芭蕉さん、年始の一句お願いします!」
「寝正月 姪に精子の 御年玉」
「ありがとうございます!来週のテーマは『受験』です!それではまた来週!」
「良い一年になりますよーに!またねー☆」

双子の話

一卵性の双子に生まれて、私たちは同じ顔をして、同じ声をして、同じ服を着て、同じ愛情を受けて生きてきた。美織と詩織なんて似た名前を付けられて、たまに自分の名前も忘れてしまいそうになるから髪型だけは変えてきた。美織は鬱陶しいからといってショートにしていた。私は自分の髪の匂いが好きだったから肩まで髪を伸ばした。

双子がいて嫌だったことと言えばそれをからかう人たちがいることくらいで、私は美織のことが好きだったし、自分の環境を恨んだことはなかった。

そう、なかったのに。

同じように生きて、私たちは同じ人を好きになってしまった。彼が2人いればよかった。彼は1人しかいなかった。

春は私たちの幼なじみで、盲目だった。だから、春がどうして美織を選んだのか分からなかった。きっと少しのタイミングの違いや、はじいたコインが表か裏で出るかくらいの差で、春は美織を好きになったのだと思う。

今だから言える話だけれど、あれは事故じゃなかった。美織が死んだのは、私がそうなるように仕向けたからだ。10tトラックが美織を轢き殺したとき、とても悲しかった。とても嬉しかった。

美織のことが大好きだった春のためだから、と私が泣きじゃくるとことは簡単に進んだ。世間では詩織が死んで、晴れて私は美織になった。私の浅ましい嘘や計らいはすぐに野晒しになると思っていたけれど、そんなことはなかった。春さえも、ショートカットになった私を美織と信じて疑いもしなかった。

彼が横たわる病室のベッドの横で昔のことを思い出していると、外では風に吹かれた桜がひらひらと散って舞う。嘘に塗り固められた愛おしい日々が鼻腔を通って、それを深く深く吸い込んで吐き出す。美織が持っていた全てを私は手に入れた。だって、私が美織だから。春の愛する美織は私だから。夢みたいにあっという間だった。もしかしたら本当に夢だったのかもしれない。人が見る夢はどうしてこうも儚いんだろう。

彼の手を握っていると、最後の力で彼は私の手を握り返した。私が微笑みかけると、最期の力で彼は呟いた。

「ありがとうな、詩織」

まつをのラジオ:2016年を振り返って

「こんばんは、まつをのラジオパーソナリティーのまつをです!」
「こんばんは!まいまいだよー!」
「なんだか久しぶりに会う気がしますね!」
「そうかなー?☆」
「それはそうと、いよいよ2016年も残すところ2時間ほどとなってしまいました」
「年越し!」
「というわけで今日のテーマは『2016年を振り返って』です。まいまいは今年、どんな一年でしたか?」
「んーとねー、一言で言うなら『パパ』!」
「なるほど!何も伝わりませんね!実はラジオが始まったのも、まいまいと出会ったのも、ブログを始めたのもぜんぶ今年のことなんです」
「おー、色々あったねえ」
「そうなんですよ。僕、一年があっという間だった、というフレーズがあまり好きじゃなくて。振り返るとあっという間に感じるなんて、当たり前のことじゃないですか」
「全部が全部は覚えてられないもんね☆」
「そうなんです。でも、確かに一年間という時間を僕たちは過ごしているわけで。途方も無いほど色んなことがあったはずなんです。それを年末に、あっという間だったの一言で片付けてしまうのは、一年間苦しんでもがいて裏切られて絶望して虚しくなりながらもなんとか生きてきた自分に失礼じゃないですか」
「どんな一年だったの…」
「その逆も然りです。ささやかでも楽しいことや嬉しいことがたくさんあったはずなんです。それをまるでなかったことかのように言うのは、とても寂しいことだと思います」
「そうだねー!まいまいも、パパとデートした場所はぜんぶちゃんと思い出せるし、まつをさんとのラジオも楽しかったからちゃんと覚えてるよ!」
六義園にもデートに行きましたし!」
「紅葉綺麗だったねー!」
「こんな感じでみなさんにも、あっという間だったの一言で片付けるのではなく、一年間にあった色んなことを思い出しながら、生きるより死ぬ方が楽だと知りながらも生き抜いた自分を褒めてあげてほしいなと思います」
「みんな、頑張ったね!」
「さて、お手紙が来てますね。三重県在住の松尾芭蕉さんから『来年も一句読まなきゃ駄目ですか』」
「おお!575!」
「この人575でしか話せないんでしょうか…」
「57577でもたまに話してるよ」
「あんまり変わんないですね。さて、こちらの質問ですが…確かに最近一句にキレも斬新さも侘び寂びも奥ゆかしさもありませんし、それに伴って話題になることもありませんね」
「厳しいねー」
「でも、そういったスランプになってもう一句をやめようとしたのも今年でしたよね。結局数ヶ月で戻ってきましたけど」
「あれは無様だったねー☆」
「たぶんもうあなたは一句からは逃げられないのでしょう。活動再開時の『エゴイズム ゴムを外せば エイズかな』は芭蕉史に残る一句となりましたね」
「まいまいもゴムは避妊のためだけじゃないなって胸にグッときたよ!」
「やめたくてもきっと、来年も苦しみながら続けることになると思います。自分の運命に向き合いながら良い一句を読んで頂けたらと思います」
「楽しみにしてるねー♪」
「それでは、今年最後のラジオはこのあたりでお開きにしましょう。2017年も元気な顔でまたお会いできたらと思います!2017年第1回目のテーマは『セックス』です!」
「まいまい欠席していい?」
「ダメです!それでは芭蕉さん、今日の一句のコーナーお願いします!」
「打ち鳴らす 年の瀬ックス 除夜の鐘」
「ありがとうございます!それではみなさん、また来年もよろしくお願いします!」
「今年はお世話になりまいまい!酉年はみんなでピヨピヨしようね〜!バイバイ☆」

空が青過ぎると

私の日々のささやかな楽しみは、昼休みに会社近くの喫煙所へ行くことだ。同期の誘いを断って今日も喫煙所へ向かう。

腕時計を見て確かめる。てっぺんを差す短針と、底を差す長針。よし、と一息吐いて私は会社を出た。

からりとした冷たい風がコートの内側まで入り込んで、肩をすぼめて歩く。師走に奔走する疲れた顔のサラリーマンや食事を取る以外の楽しみを失ったもう若いとは言えない女がすれ違う。

喫煙所に着いて、寒さで強張った私の頰は緩んだ。灰皿の周りの集団から二、三歩離れたところで煙草の煙を吐く男性。目にかかった髪、緩めたネクタイ、清潔感を失っていないスーツ。彼は今日も、どこを見るとでもなく空を見上げていた。

私は彼を何も知らない。知っているのは毎日12時40分頃この喫煙所にいるということだけだ。他の時間に喫煙所に来ても一度も会えたことがない。そして、きっと彼は私を何も知らない。毎日12時40分頃に、自分のことを見るためだけにわざわざ遠い喫煙所まで足を運ぶ女のことを。

知りたいと、知りたくないの間で私は揺れていた。彼はどこに勤めているのだろう。名前を何というのだろう。彼はいつも。いつも何を見上げているのだろう。幾度か彼の目線を追って空を見上げたが、目に映るのは青い空と、雲と、ビルの群れだけだった。

年末の忙しさは私にも訪れて、土曜日に出勤することになった。世間がクリスマスに浮かれていても特に不満はなかった。仕事は好きだ。自分が自分であることを忘れられるから。

いつもの癖で、私は12時40分に喫煙所へ向かった。期待をしていなかったから、彼がいることにまず驚いた。いつもと変わらない場所でいつもと同じように空を見上げていた。いつもと違って、喫煙所にいるのは私と彼だけだった。

何が私の背中を押したのか分からない。きっと、知りたいと知りたくないの間で揺れていた振り子が、ちょっとしたことをきっかけに傾いてしまったのだ。

「すみません、ライター貸して頂けますか」

彼が恐る恐る嘘をつく私に気づくのに数秒かかった。目を何度か瞬いてからスーツのポケットに手を入れる。

「ああ、どうぞ」
「ありがとうございます」

彼を知るまたとないチャンスに頭の中でいくつもの質問が駆け巡った。どんな質問も、彼は望んでいないように思えた。

「何を見上げているんですか」

あまりにも唐突な質問が、溢れかえりそうな水槽から溢れた。掬い上げられなくても仕方のないようなものだった。

「…空」
「それは、分かります」

覚悟はしていたが、あまりにもそっけない彼の答えに心が折れそうになる。でも、ここまで踏み込んだからには後に引けない。

「いつもここで空を見上げてますよね」
「そうだね」
「何か、あるんですか」
「何も。冬の空」

乾いた会話でいよいよ萎れかかった花弁に、彼は一言だけ付け足した。

「空が青過ぎると、死にたくなるらしい」

笑ったのかそうでないのか判別が付かないような曖昧な表情を残して彼は喫煙所から去ってしまった。一人残された喫煙所で、私は空を見上げた。雲一つない冬の空はどこまでも青くて、深くて、透き通って、遠かった。

あの日以来、彼を喫煙所で見ることはなかった。結局私は彼の勤め先も名前も知らないままだった。彼が立っていた場所から、私は今日も空を見上げている。何もない青空に、何かを探していた。

まつをのラジオ:お休み1

「こんばんは!まつをのラジオ、パーソナリティのまつをです!今夜はまいまいがお休みということでラジオもお休みとなります。まいまいは聖なる夜をパパとゆっくり過ごしているみたいです。来週はいよいよ大晦日ですが、ラジオは放送しますので是非遊びに来てくださいね!来週のテーマは『2016年を振り返って』です。おまけということで、芭蕉さんに一句お願いしたいと思います!」
「キツキツの 穴にメリメリ クリスマス」
「去年人気だった一句ですね!ありがとうございます!それではまた来週、よいメリメリクリスマスを!」

カテゴリーの紹介

三月にブログを始めて、もう十二月になる。この九ヶ月、様々なことがあった。その様々を自分の中で捻じ曲げ、ぼやかし、色付けし記事を書いてきた。本当にありがたいことに、この九ヶ月の間にのべ1万5千を超えるアクセスがあった。1万4千回くらい自分でアクセスしているので1千回以上のアクセスがあったことになる。楽しんでもらえていたなら幸いだ。

記事が増えるにつれ、書きたいことも増えた。それらをカテゴリーに分けて公開している。人によって好きなカテゴリーも苦手なカテゴリーも異なると思うので、そのカテゴリーを今日は紹介する。

雑感

一番多いのがこれ。名前通り、カテゴリー分けしづらい様々な記事がここに属している。当該記事も雑感だ。雑感のときは何が飛び出すか分からないので注意が必要となる。メンヘラみたいな記事もあればどぎつい下ネタがあったりする。内容の予測ができないと言う点ではある意味刺激的だと思う。

役に立ちそうなこと

そういえばこんなカテゴリーあったな、と読み返して知った。全然書いてないので割愛。

彼女

ネタバレとなってしまうが、このカテゴリーにはローションやオナホについての記事が属する。ローションやオナホを彼女に見立てた内容だ。もともとこのブログ自体オナホのレビューを書くオナホマエストロまつをの「オナホマ日記」となるはずだったのに全然書いてない。反省。

英会話

洋画の字幕っぽい表現による会話を記事にしたもの。英会話とか言って全く英語は出てこない。テンポ感を大事にして書いている。このカテゴリーではチンポ感を出していないので読みやすいと思う。

メンヘラ

ぐったりしているときにストレス発散で書いているのがこちら。どちらかと言うと読まれることを期待していない。改行と句読点を含まず一文だけで構成されている。とても読みづらい。

天使

今年一番書いたかなあと思う。言わずもがな、天使とは「AV女優」のことだ。このカテゴリーを書くときは他の記事の何倍も集中力を必要とするし書く際にも調査を行うし、時間も心もかけて誠心誠意書いている。おかげさまで沢野美香さんの記事は「沢野美香」と言う検索キーワードで1ページ目に表示される

SS

割と人気がある、と思っている。名前通り、ショートストーリーが分類される。携帯小説を書いていた頃の延長だ。1記事で壮大なストーリーを作るのは難しいので、映画や漫画のワンシーンを切り取って描くようなイメージを持っている。

ランキング

言わずもがな、ランキングのカテゴリー。ランキング記事はアクセスが集まるという話を聞いて書いている。自分の好みや願望で物事に順序付けするというのは案外に楽しい。

日記

もう完結したのでこれ以上記事が増えないカテゴリー。まいまいとパパの関係を垣間見ることができる。まいまいって誰だよ、という方はこのカテゴリーの記事を読めばまいまいのキャラクター設定が分かる。

夜の日記

お気づきの方も多いかもしれないが、これはその日寝ている間に見た「夢」を書いた記事のカテゴリー。私は驚くほど夢を見るのでいくらでも書けてしまうのだが、その中でも記憶に強く残ったものを夜の日記として書き残している。

メルヘンおじさん

このカテゴリーについては「おちんちんがおっきくなるのは」という記事で説明されている。そちらでは抽象的な説明なので具体的に説明すると、性の知識が乏しい幼女に誤った知識を植え付けることを生きがいにしているおじさんの記事である。

観音

シリーズものにする予定がまだ1記事しか書けていないこちら。観音様の官能小説、すなわち観音小説である。普段使わない単語等を調べたりしつつ、雰囲気重視の内容となるので書くのに労がいる。

ラジオ

最近はもっぱらこれ。まつをとまいまいのラジオ番組を載せたもの。番組終わりには芭蕉さんによる一句のコーナーがある。毎週土曜22時放送。もっとも自分の脳内をそのままアウトプットしている感があるのでとても書きやすい。


いかがだっただろうか。全てのカテゴリーを好きになってもらうのは正直厳しいと思うので、どれか一つでもお気に入りのものがあったならばとても嬉しい。ちなみに私は英会話のカテゴリーが好きだ。

神聖なこと

人を殺すことでしか得られない快楽というのがあるようで、それは人を殺すことでしか知ることができないようだ。想像力を働かせて、右手にナイフを持ってみる。そのナイフを縦横無尽に振り回す。初恋の人を殺す。尊敬していた先輩を殺す。近所の子供を殺す。父親を殺す。今でも優しい友達を殺す。全然気持ち良くない。

人を殺すことでしか満たされない欲というものがあるようで、それは人を殺さなくても抱え込んでいるみたいだ。想像力では補えない触覚や視覚や嗅覚がある。飼っていた犬を殺す。群がる鳩を殺す。野良猫を殺す。全然満足できない。

もっと感覚全てに訴えかけるような死が、それでいて感情が摩耗するような死が、右手のナイフを伝う血が、重みなんてない命が、奇声を上げる人間の最期まで醜いが終わる音もしないまま終わるのを見る快楽だ。信じたもの全てに裏切られて自分自身にも裏切られて何もかもどうでも良くなってそれでもかすかに灯る欲自体が人を殺すを満たすために人を殺すために生きることそのものが欲だから。だから?人を殺したことがない人間が人殺しはいけませんなんて知ったような口を聞いてる人間を殺す。人を殺したいなら自分を殺せよなんて自分を殺したこともない人間が許せないから殺す。だんだん楽しくなってくる。人を殺す。満たされない。殺す。気持ちいい。楽しい。

人から奪う幸せは美味。人を殺す快楽はヘロイン。ヘロインもやったことがないけれどきっと人を殺すみたいな全能感と生まれながらにして不平等な人間が人間の上に立つ神様みたいな神聖なこと。