貧乳好きの紳士とロリコンの懺悔

僕はロリコンだ。少女が好きだ。少女の傷んでいない黒く艶やかで風にさらさらとなびく髪が好きだ。少女の化粧っ気のないそれでいて柔らかく白く弾力のあるきめ細やかな肌が好きだ。この世の不条理や裏切りや争いや醜い欲望を何も知らず振りまかれる屈託のない笑顔が好きだ。

そこまでの純粋無垢さを持っていないとしても、未成年ならまあ好きだ。選挙権を与えられてちょっと大人になったような気になっている未成年も好きだ。年上の男性に憧れて少し背伸びをしてしまうような未成年が好きだ。

ここ最近一気に有名になったTwitterアカウントをご存知だろうか。

暇な女子大生 (@bored_jd) on Twitter

悔しいくらい面白いアカウントだ。簡単に説明すると、出会い系アプリで高学歴男性を捕まえては性行為に及んでいる慶應女子大生のアカウントである。東大卒など超高学歴男性とのセックスを赤裸々に語っている。本人は高学歴エリートとの情事を記録するちんぽの食べログと謳っている。

さも、ロリコンの僕が喜びそうな案件ではないか。若い女の子が喜んでその芳醇な身体を世の男性に預けているのである。

僕は自他ともに認めるロリコンだと思っていた。でも僕は気づいてしまった。




僕はロリコンじゃないのかもしれない。

本来ならば餌を前にしたラブラドール・レトリーバーの尻尾のようにおちんちんをふりふりしたくなるこの案件に、僕のダンコーン🌽はピクリともしないのだ。全くそそられないのだ。

僕には学歴コンプレックスがあるので、彼女を見る目にそういったことも多少なり濁りを与えていることは否定しない。しかしながら、そんなことで萎えて苗どころで寒さを凌ぐような程度の低いダンコーン🌽ではない。

なぜなのだろう。なぜ僕は彼女に全くそそられないのだろう。長い人生の中で築き上げてきた唯一とも言えるアイデンチンチンの喪失を前にして僕は怯え震えた。

回りくどい説明となるかもしれないが、この問いに対する僕なりの答えを見つけた。

貧乳好きの紳士の話

彼は紳士だ。コーヒーを飲ませたら誰もがきゅんとなるような紳士だ。そんな彼には人に言えない性癖があった。貧乳が好きなのだ。特に衣服を脱がそうとすると胸の小ささを恥じらってホックの外れたブラを腕で抑えて胸を隠す所作で肩から外れて垂れるブラ紐が大好きだ。それを見ると彼のちんちんは紳士の化けの皮を剥ぎつまり仮性包茎なわけであるがそれはそれは立派に屹立するのである。

そんな彼がいく度目かに抱こうとした女性は確かに貧乳だった。しかし彼はそこでアイデンチンチンを失ってしまったのである。

いつもの通り紳士的に優しい手つきで衣服を流そうとすると、あろうことか、彼女は自ら服を脱ぎ始めてしまった。そして、こう言った。

「おじさん、貧乳が好きなんでしょ?舐めてよ」

その時、彼は思った。今までは思いもしなかったことを思ってしまった。





なんでまな板舐めなあかんねん



処女狩りのカリスマ

彼はカリスマだ。学年に一人はいたあのカリスマだ。男性からは憧れられ、女性からは黄色い歓声が上がるようなカリスマだ。そんな彼はそのカリスマ性で多くの処女を抱いた。彼は処女が好きだったし、処女もまた彼にならば大事な大事な秘密の扉が開けられることを許した。処女が初めての行為に恐れ震える時も彼は優しく導いた。そして処女から非処女へ、少女から女性へ生まれ変わった彼女たちの痛み恥ずかしさ快楽で赤らんだ頬に口付けすることが彼の生きがいだった。

そんな彼がいく度目かに抱こうとした女性は確かに処女だった。しかし彼はそこでアイデンチンチンを失ってしまったのである。

いつも通りそのカリスマのカリをマサカリが如く突き付けるために優しく愛撫していると、あろうことか、彼女は自ら股を広げたのだ。そして、こう言った。

「お兄さん、さっきも言ったけど、わたし処女なの。処女とヤレるなんてラッキーでしょ」

その時、彼は思った。今までは思いもしなかったことを思ってしまった。






サバでも突っ込んでろ



童貞愛者の若妻

彼女は若妻だ。毎日帰りの遅い仕事熱心な夫を待つ健気な若妻だ。そして彼女は童貞愛者だ。童貞が好きだ。同年代の異性から見向きもされず劣等感を溜め続けチンコンプレックスを拗らせた童貞が好きだ。そんな彼らが初めてのおっぱいに幼児のように喜び、国宝を見るような目で女性器に目を輝かせ、楽しみに楽しみにしていた行為で一瞬で果ててはする悔しそうな恥ずかしそうな嬉しそうなハニカミを見ると母性が溢れ出し性マリアとなる。

そんな彼女がいく度目かに下ろそうとした男性は確かに童貞だった。しかし彼女はそこでアイマンティティを失ってしまったのである。

キスをして耳を舐め首元を吸い乳首を爪弾いただけでギンギラギンにさりげなくなった彼のそれをパンツと言う名の牢獄から解放しようとすると、あろうことか、彼は自ら下を脱ぎ始めたのだ。そして、こう言った。

「ねえフェラしてよ。まだ誰も舐めたことないんだぜ」

その時、彼女は思った。今までは思いもしなかったことを思ってしまった。そして、咥えたそれを






噛み砕いた



ロリコンの懺悔

今話した彼らは、僕と同じだ。

貧乳好きの紳士は真に貧乳を好きだったのではない。処女狩りのカリスマは真に処女が好きだったのではない。童貞愛者の若妻は真に童貞が好きだったのではない。彼らは、その性的コンプレックスに付随する相手の葛藤や憂いや、つまりは人格が好きだったのだ。

僕もそうだ。きっと、僕は真に少女が好きだったのではない。

僕はロリコンじゃなかった。

若さを武器に狡猾にまんまんをぱんぱんさせているような少女にはダンコーン🌽がぴくりともしないのだから。僕は、彼女たちのロリであるが故にある純真さ無垢さ無知やその「白」が好きだったのだ。

これは、ロリコンを名乗った僕の懺悔だ。

まつをのラジオ:すき家

「こんばんは!Family Martからミルクフランスという商品がなくなり怒りに満ち絶望に喘ぐまつをです!」
「今日も元気もりもり!メガ盛り!まいまいだよ〜☆」
「最初に宣伝ですが、studio molで新曲ができたみたいですね!」
「まいまいもYouTube見たよ!すごく教育的だった!」
「その映像をこちらに置いておくのでお時間があればぜひ!」

【PV】This Is the Song For / studio mol - YouTube

「さて、今日のテーマは『すき家』です!」
「苦しいねえ」
「ネタ切れですね。でも、すき家については一度ちゃんと話したかったんです」
「どれくらいの頻度で行ってるの?」
「だいたい週に3回くらいですかね。近頃だいぶ減りました」
「飽きないのそれ」
「牛丼の並盛りばかり食べていた時は飽きかけましたが、つゆ抜きで頼むようになってから落ち着きましたよ」
「つゆだくじゃなくてつゆ抜きにするんだ!」
「そうなんです!つゆがあると胃がぐったりする感じがあって。時には別のも頼みます」
すき家はメニューいっぱいあるよね!」
「ねぎ玉牛丼とかマグロユッケ丼とかよく食べますね。女性には鶏そぼろ丼がオススメです!」
「でも、なんでそこまですき家にこだわるの?お肉は吉野家とかの方がおいしいでしょ」
「これがですね、すき家の方がおいしく感じるようになってしまったんですよ。舌がすき家のお肉の味を認識するようになってしまって、他の牛丼屋さんでは満たされなくなってしまったのです」
「中毒じゃん」
「中毒です」
「やめなよ…」
「味もそうですが、行き慣れ過ぎてしまって、すき家に行くと実家に帰ったかのような安心感があるんですよね」
「店員さんの顔覚えたり?」
「顔はもちろん、接客の仕方とかも覚えちゃいますね」
「あー、そういうのは覚えちゃうよね!」
「名前は覚えられませんが」
「外人さん多いからしょうがないよ」
「なんですき家ってあんなに外人店員さんばかりなんでしょうか。色んな場所ですき家に行ってますが、どこもそんな感じです」
「たまに日本語通じないよね…」
「つゆ抜きを頼んだのにつゆだくになってた時はブチ切れて七味使い切ってやりましたよ」
「辛そう」
「さて、お便りのコーナーです!松屋在住の味噌汁さんから『お味噌汁が出る松屋が優勝』」
「お味噌汁が飲めるのはいいよねえ。冬は特に!」
「お言葉ですがああいう牛丼頼むと付いてくるタイプの味噌汁はお断りですね。それならすき家でとん汁を頼みます」
「…」
「さて、今日はこの辺りにしましょう。来週のテーマは『ペット』です!」
「わんわん!」
「それでは芭蕉のコーナーお願いします!」
「つゆだくの 穴に締められ つゆ抜かれ」
「ありがとうございます!それではまた来週!」
すき家の牛丼♪」

正しいと間違いと

「君は正しいのかい」
「私は正しいわ」
「どうして自分は正しいと言い切れる」
「それは私が私は正しいと信じているからよ」
「信じる、か。失礼だけど、僕は正しい人が嫌いなんだ」
「知っている」
「僕は僕が正しいとは到底信じられないし、誰よりも間違っていると思う」
「あなただって正しいじゃない」
「どうして」
「自分が間違っているということを信じて、それが正しいと思っているから」
「参ったな。正しいというのは一体なんなのだろう」
「少なくとも、絶対的な価値とは思えないわ」
「普遍的な正しさは無いと」
「そう。多勢の正しさに合わせて正しくあろうとすることは間違いだと思う」
「多勢の正しさに合わせることが正しいと信じているんだろう」
「そうね。それも間違いとは言えないかもしれない」
「結局、間違っていることなんかないんじゃないか」
「いいえ、一つだけあるわ。他人の正しさを否定することよ」
「正しさは自らのためだけに、ね」
「ほら、やっぱり私は正しいわ」
「僕は間違いだらけだ」

お仕事の話〜定時上がりの恐怖〜

今日も定時上がりだった。これは、とてもとても恐ろしいことだ。

資料の裏紙で一句を考えたり落書きをしていると定時の鐘か鳴ったので僕は帰ることにした。これは、とてもとても恐ろしいことだ。

仕事というのは、コストと売上を勘定し、それによる利得あるいは損失によって評価されるものだ。

例えば、社員にりんご売りを任せたとする。1個200円のりんごを1時間で10個売れば売上は2000円だ。そのりんごを150円で仕入れていたとすると、利得は500円となる。さらにりんご売りの時給が1000円だったとすると利得は無くなり損失が500円となる。せっかく頑張ってりんごを売ったのに500円の赤字が出てしまうのだ。

損失を無くし利得を得るにはいくつかの方法があるだろう。

  1. りんごを1個250円より高値で売る
  2. りんごを1個100円より安値で仕入れる
  3. りんご売りの時給を500円より下げる
  4. りんご売りが30分かけずに10個売る

実際の仕事はもっと複雑でこんな簡単に語れる話ではないのだが、簡潔にするとこんなところだと思う。

僕の仕事柄、1〜3は選択肢として却下される。したがって僕は4に努めた。自分が早く仕事を終わらせれば、利得が得られるのだ。利得は会社に還元され、最終的にそれは僕に還元される。

しかし、最初に話した通り僕はここのところりんごを売るわけでもなく、裏紙に落書きを書いて定時に仕事を上がっている。そして、定時で上がっているのは僕くらいなもので、他の社員は残業をして仕事をしているのだ。

どうしてこんなことになってしまっているのかというと、僕に仕事が与えられていないからだ。僕に仕事が与えられていないのにも関わらず、他の社員は仕事をしているのだ。

単刀直入に言おう。僕は見限られてしまったのである。

4に努めていた僕は確かに短時間で多くの仕事をこなしてきたはずだ。しかし、それに努めるばかり失敗が増えた。失敗が増えるとそれを僕、あるいは誰かが余計な時間を使って直したり、謝ったりする。それだけではない、失敗が増えることによって信頼が無くなる。結果として、コストを大きな目で見たとき、僕に仕事を与えることは損失を生むこととして認識されてしまったらしい。

そんなわけで、僕は今日も裏紙に落書きを書いたりその紙で折り紙をしている間に定時を迎えてしまった。落書きをするのも折り紙をするのも仕事として与えられているわけではないので、僕の労働時間はその他に付けることになる。その他は売上なんぞ1円たりとも上げていないので、結果として僕の労働時間が全て損失となる。

おわかりだろうか。この会社にとって、僕が存在すること自体が損失となっているのだ。これは、とても恐ろしいことだ。はっきり言っていつクビになってもおかしくない。むしろ今も会社に席があることがおかしい。

お仕事はシビアだ。コストと利得の話だけだと思ったらそこに信頼なるものが絡んでくる。僕は残念ながらその信頼を失ってしまったし、そうなるともう簡単には取り戻すことができない。手遅れになってしまった。

定時上がりというのは、今の僕にとってとてもとても恐ろしいことなのだ。

まつをのラジオ:受験

「こんばんは!家庭教師のお姉さんにエッチなことを教わりたい!まつをのラジオパーソナリティのまつをです!」
「いぇーい☆永遠の17歳、まいまいだよー!」
「寒くてやる気が出ない季節ですが、そろそろ受験シーズンですね…!」
「どきどきするね!みんな頑張れ☆🎉」
「まいまいは受験したことあるんでしたっけ?」
「高校受験はしたよー」
「ほほお!高校受験はしたことがないのでイメージが湧かないんですよね…!」
「地元の子がたくさん行く高校で、そんなに難しくなかったよ!一つレベル上げると進学校で、一つ下げると荒れてる感じ。地方だから学校が少ないの」
「なるほどなるほど。共学ですか?」
「そうそう!男の子と下校するとパパが嫉妬するの❤️」
「パパはガキなんですね!」
「パパノワルグチイウヤツコロス」
「冗談ですよ!自分は中高一貫校だったので高校受験はありませんでした。逆に中学受験はしましたね」
「おお!ハイソな感じする!」
「面白かったのは、学力テストの他に一つ特技をやるやつですね」
「なにそれ!」
「周りの人はバイオリンとか持ってましたねえ。披露した後に面接するんですよ」
「へええ」
「自分はピアノを弾いたんですがボロボロの演奏でしたし、何より面接の時に今まさに受験している学校名を忘れて散々でしたね」
「それはひどい」
「まあ、落ちても地元の公立中学校という最強の滑り止めがあるので中学受験はオススメですよ!」
「なるほどねー!大学受験はどうだったの?」
「懐かしいですねー。受験生の冬、12月にけいおんの映画が上映されたんですよ。それを機にけいおんのアニメを全て見て、1人で映画館に行きました」
「おい」
「それからというもの僕は放課後ティータイムに恋をしてしまいました。誰推し?とかは野暮です。私はあのバンドが、放課後ティータイムが好きになったんです。狂ったようにアニメを見返しながら自慰を繰り返す日々」
「おい」
「気付くとセンター試験が終わって、みんなが上手くいっただの失敗しただの一喜一憂している最中、私の恋はホッチキス、1・2・3・4・GO・HA・N!と声高に叫んで」
「おい」
「残念ながら私の受験はうまく行きませんでしたが、その代わりに一生モノの青春を手に入れたんですよ。今でも文化祭のことを思うと涙が出てきます」
「…」
「ちょっぴり嘘もつきましたが、受験が上手くいなかったのは本当です。自暴自棄になって二月は朝5時まで2ch見て夕方5時ごろに起きる生活をしてました」
「家族に怒られなかったの?」
「『すやすや寝てて安心する』って言ってましたね」
「ご両親が不憫で泣けてきた」
「僕は努力から逃げた人間ですが、そんな風に逃げた先でも温かく接してくださる皆さんのおかげで今日もこうしてまいまいと楽しくお話できるわけです。だからまいまいも、みなさんも、長い人生のうちの一つの分岐点を、例えどんな結果であれ認めて、受け入れて生きていってほしいなあと思います」
「まいまいはパパと同じ大学に入るの!」
「おや、お手紙ですね。福島県在住の息子は絶対旧帝大さんから『息子が勉強しません。頭も悪いのに努力もしないので毎日叱っていますが一向に良くならずストレスが溜まります。旦那にも嫌気が差し、もう何もかも投げ出したいです』」
「うわぁ…」
「息子さんはどうして勉強をしないんでしょうね。あなたはどうして旦那さんに嫌気が差すようになったんでしょうね」
「?」
「まるで何もかも自分以外が悪いかのように書かれていますが、物事には因果があります。今の状況を作ったのはあなたではありませんか?叱られると勉強ができるようになりますか?頭が悪いとけなされると勉強したくなりますか?家事をやれと叱られると家事が楽しくなりますか?メシがまずいと言われると料理を作りたくなりますか?」
「おおお」
「何もかも手遅れになってしまう前に、もう少し冷静に物事を捉えて見てください。あなたが思っているよりもずっと、人間は人間です。家族だって人間です」
「ふかい」
「それでもストレスが溜まってしょうがないなら僕とセックスしましょう」
「おい」
「長くなってしまったのでここらで終わりましょう!来週のテーマは『すき家』です!深刻なテーマ不足なのでどなたか助けてください!お願いします!!」
「ラジオが終わっちゃう!!(>_<)」
「それでは芭蕉さんお願いします!」
「激烈な 受精戦争 勝ち抜こう」
「ありがとうございます!それではまた来週!」
すき家からお届けするよー♪」

死にたい

家は冷たかった。外はうるさかった。居場所がないなら作ればいいとはよく言うけれど、私はそんなに器用じゃなかった。閉じた世界から逃げ出す術も知らないままで、なるべく摩擦を起こさないように努めて生きていた。だけれど、私がどんなに静を求めたところで私以外が動く世界は摩擦を生んで、軋んだ音が耳障りになる。

そんな中でも一緒にいてくれた友人を心から信頼してた。笑顔が素敵でキラキラしていて、なんで私なんかと一緒にいるのだろうと思っていた。高校二年目の二学期が始まった日のお昼に「わたし、今日から別の子とご飯食べるから」と言って去った彼女の後ろ姿を見て、なんだか笑えた。その日食べた昼食はトイレで吐いた。

死にたい、とよく思った。死のう、とはあまり思わなかった。生きる動機が無いのと同じくらい、死ぬ動機もなかった。私は結局無気力に生きることを選んだ。何も望まないように。心を閉ざすと言うほどたいそうなものでもなかった。空っぽの心を、そのまま空っぽにしていただけだった。

社会人になって二年目の春。彼が私に告白したとき、正直に言えば、気持ち悪いと思った。私が誰かの頭の中に住んでいるなんて信じられるわけがなかった。きっと、押し倒せばヤれそうな女に見えているのだと思った。だから、押し倒してヤろうとしている男だと思った。

振られても彼はめげずに「友人からでいいから」といった。「君のことがもっと知りたいんだ」とも言った。空っぽの何を知ると言うのだろうと思ったけれど、そんなことを話してもしょうがないから適当にあしらった。それでも彼は、ことあるごとに私に近づいてきた。

逃げ出すような場所も気力もなかった。ヤれそうな気もないと分かったら早々に手を引くだろうと思っていた。それは誤算で、どうやら彼の頭の中には本当に私が住んでいるみたいだった。そうこうしているうちに、私は一番知りたくない自分に気づいてしまった。彼のことが好きになっていた。

死にたい、とより思った。死のう、とも思うようになった。生きる動機ができてしまって、それは死ぬ動機にもなった。無気力に、何も望まないように生きてきた私に居場所があった。彼の頭の中に私が住んでいる内に、空っぽの心が乾きを知る前に。

死にたい、と思った。