お母さん、わたし、

「お母さんの子になんて生まれたくなかったわ」
「あらあら、突然ひどいことを言うのね」
「こどもは両親を選んで生まれてくるって言うでしょう。そんなの嘘よ。わたしは絶対にお母さんを選んだりしないもの」
「そうねえ。でも私も、選べるならあなたなんて生まなかった。もっと聞き分けが良くて、素直な子が欲しかったわ」
「お母さんもひどいのね」
「だって生まれてくる子どもは選べないんだもの。産んだら育てないといけないんだから」
「どうしてわたしはお母さんの子に生まれてしまったのかしら」
「さあね。でもキャシー、ひとつだけ良いことを教えてあげるわ」
「なあに」
「生まれる場所も、生まれる子どもも選べない。けれどね、一生を添い遂げるパートナーはあなたが選べるのよ」
「そんなの、片思いだったらおしまいじゃない」
「ふふ、あなたもまだまだ子どもね」