スタジアムライブはもう行かない〜2019.6.22RADWIMPSを見て〜




はじめに断っておきたいのですが、私はRADWIMPSというバンドの大ファンです。決して古参とは言えないけれど、『25コ目の染色体』がJAPAN COUNTDOWNのタイアップを受けたときから音楽好きな兄と狂ったように聴き、何度もライブへ足を運びました。夜中に車を走らせて行った「青とメメメ@仙台みちのく杜の湖畔公園」の土砂降りで泥んこの足元も、普段関わることのないピアスバリバリギャルに『有心論』のCDを貸したのも、今となっては良い思い出です。ライブハウスで見た『バグッバイ』の神々しさは、きっと一生忘れることはないでしょう。

ANTI ANTI GENERATION TOUR 2019

そんな大好きなRADWIMPSのライブにここ最近は行くことができておらず、思い立って新作のツアー「ANTI ANTI GENERATION TOUR 2019」に行ってきました。久しぶりに生でRADWIMPSを観るのもあって、胸を高鳴らせて会場へ向かいました。

会場はZOZOマリンスタジアムで、ELLEGARDENの活動再開ライブを場外で聴いたことがあるだけで、中には入ったことがありませんでした。

会場入りして、おびただしい数の人がいて、だけれども最初に思ったことは「へえ、こんなところでライブやるんだ」でした。スタジアムなので仕方がないことなのですが、ステージの横ではいくつもの企業広告が激しく自己主張をしていて、なんとなく、これからライブだ!という高揚感が沈んでしまった気がしました。そうして、あまり乗りきれないままにライブは始まりました。

細かいセトリや、MCについてはここでは書きません。3万人以上の聴衆が生む熱狂のエネルギーは凄まじく、それに応えるべくRADWIMPSのメンバーも熱い思いでライブをしていました。

が。正直に、正直に言って「音楽体験」としては最低なものでした。ボーカルのみならず、コードやリズムの音さえもが広い会場内で反響してぼやけ、乗るに乗りきれず、何が鳴っているのかもよく分からない。広過ぎて観客の手拍子も合わず、会場の一体感もない。曲というものは聞いたことがあればある程度脳内で補完することができるのですが、それもままならないほどぐちゃぐちゃな音。バンドのメンバーも観客も熱い思いでライブに挑んでいるからこそ、実際に耳から入ってくる情報の劣悪さとのギャップを生み、いたたまれない気持ちに襲われながらライブを終えてしまいました。

もしかすると、聴いている場所によっては、上記のようなことはなかったのかもしれません。でも、想像するに、会場の大多数の耳に届いていたのは、バラードもロックチューンも常時テンポに合わないエコーが全楽器にかけ続けられている音楽の体をなしていないものだったのではないでしょうか。

スタジアムは音楽の場所じゃない

このライブを通して、私はスタジアムが音楽のあるべき場所ではないと確信しました。

幼い頃、何度か東京ドームでMr.Childrenのライブを見たことがあって、それはそれでとても楽しかった思い出として残っているのですが、初めてライブハウスでHYのライブを見たとき、その衝撃に心を震わせたのをよく覚えています。音楽が鳴っている間は隣の人とおしゃべりすることもできない爆音で、衣服は音で揺れて、心臓の深いところまで突き刺される体験。確かにそこで音楽が鳴っているという緊張感。感動した私は、完全にライブの虜になったのでした。

Mr.ChildrenRADWIMPSのような超有名なバンドにとって、そういったライブハウスでライブをやることが現実的でないことは分かっているつもりです。大きくてもたかだか数千人しか入らないライブハウスではチケットもなかなか取れませんし、多くのファンに音楽を届けるならば大きな会場を選ぶことは合理的な選択でしょう。

それでも、今回のライブで野田洋次郎さんがMCで言っていた「音楽とずっと、正面から向き合ってきた」という言葉を私は信じたいと思います。わがままは百も千も承知で、もし、本当に音楽をちゃんと届けたいなら、スタジアムで3万人集めるよりも、3千人規模のライブハウスで10回ライブをやってほしい。(もっというと3百人規模のライブハウスで100回ライブして欲しいけどさすがにわがままが過ぎますね…)

もし、今回のANTI ANTI GENERATION TOUR 2019 ZOZOマリンスタジアムのライブがあなたにとって初めてのライブ体験だったなら、一度でいいからライブハウスに足を運んでみてほしいです。もし今回のライブを聴いて、やっぱり音楽はCDやストリーミングの音源を聴いた方がいいや、と思ってしまったなら、それはとてもとても寂しいことです。ライブハウスは先に書いたとおり、本当に音が大きいので苦手な方もいるかと思いますが、きっと今まで味わったことのないような感動が待っているはずです。

今回のRADWIMPSのライブについてあれやこれや悪く書いてしまいましたが、本編最後の『愛にできることはまだあるかい』は、それでも素晴らしいものでした。初めて聴いたにも関わらず、演出も相まって、深く胸を打たれました。

RADWIMPSの音楽が好きだからこそ、次はライブハウスで聴きたいと切に願いDADAをこねたブログにお付き合い頂きありがとうございました!