無個性の創造物

誰にも嫌われないようにとか悪く思われないようにと振る舞えば相対する話者によって人格を切り替えなければならないしそのように幼い頃から過ごしていれば段々と個性というものも無くなり信念はおろか自身の性格さえも曖昧となり例えるならば柱が一本をあるべきはずの場所に風に吹かれたら靡いてしまうような糸が垂れ下がるだけの人間となりかくして出来上がってしまった空っぽの中身に想像力だけででっち上げたいくつもの人格を入れ替えては洋服を脱ぎ変えるみたいに自我を創造するもその虚言や虚実の脆さに耐えられず何者にもなれないことを知る。