猟奇

その1

「お前の彼女が人質だ」
「ふざけるな!そんなことをして何になる!」
「そうだなあ、金になるかもしれないな。そんなに助けたければ1000万、用意してみろよ」
「くっ…すこし、時間をくれ…」

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「用意したぞ、さあ、彼女を解放しろ!」
「おお、ご苦労だったな」

ばん、

「な、」
「お前のお金より大事な女が死んじまったなあ、あははは」

その2

『人類を救いたければ、1人の命を差し出せ。年齢性別は問わない。ただし、1人で来い。以上だ』

「ああ今日も自己犠牲を厭わない優しい人間がよく来るな。自分の命ひとつでみんなを救える、なんてヒーロー気取りで。その死が誰に知られることもなければ、誰かを救うこともないのに。そもそも人類滅ぼすなんて嘘っぱちだしなあ。ん、また来た。人類を救うはずの人間が何を知ることもなく無駄死にしていくなんて、滑稽だなあ、あははは」

その3

「放せ!放してくれ!」
「うるさい。せっかくお前の大事なお仲間さんが火に炙られているんだ、最後まで悲鳴を聞いてあげようぜ。お、いい声」
「絶対に許さないからな!同じ目に合わせてやる!」
「弱いのに正義感だけ強い人間ってのは哀れだなあ」
「くそっ…いっそおれも殺せ!」
「おいおい、お前みたいな人間は精神的に苦しめるのが楽しいんだ、馬鹿いうな。と、そんなこと言ってる間にお仲間さん、息絶えたぞ、あははは」

その4

「なんだ、何が起きてる!」
「お前の妹と、母親がそれぞれ閉じ込められてる。ほっとけば水が溜まって溺死だな」
「止めてくれ!頼む!」
「慌てふためくお前にいい知らせだ。手元のスイッチで、片方だけは救えるぞ。」
「そんなの選べるか!」
「よく考えろ、このままだと二人とも死ぬだけだ」
「うう…母さん、ごめん…ごめんよ」

ぽち、

「…え」
「あれえ、スイッチ壊れてたみたいだなあ。結局二人とも溺れ死にだな。ちなみにあいつらの声はここに届かないけど、お前の声はちゃんと届けてるから喜べ、あははは」