まつをのラジオ:死んだ後の世界

「こんばんは〜!いよいよ始まりました、まつをのラジオ!わたくしパーソナリティのまつをです!」
「まいまいだよー☆」
「始まりましたねえ!始まってみてどうですかまいまい」
「んー、スタジオが汚い!かび臭い!」
「僕の自室ですからね!」
「よくこんなところに暮らせるね…」
「住めば都ですよー。まいまいのお部屋はどんなです?」
「まいまいのお部屋はねー、壁と天井一面にパパの写真が貼ってあるよ!」
「うわぁ…」
「パパ…好き…」
「さてさて、まつをのラジオは毎週土曜の夜10時から、皆さんの悩みや気になること、今話題のあんなことやこんなことを紹介する番組です」
「ひゃっ!」
「どうしました?」
「今、黒い影がひゅって…」
「あはははは。それでは始めましょう。今日のテーマは『死んだ後の世界』!さっそく重いですね!」
「天国かなー☆」
「死んだ後の世界は誰も見たことが無いですし、宇宙や深海と違って絶対に帰ってこれませんから気になりますよね。僕はね、『無』だと思いますよ」
「むむむ?」
「寝てる時って、夢でも見ていなければ何も無いでしょう?寝て起きると、まるで時間が飛んだみたいな。あの何も無い状態が続く、そしてそれを僕たちは意識できない」
「難しくて分かんない☆」
「まいまいは天国があると思いますか?」
「あるんじゃないかなあ。まいまいは死なないけどね!」
「肉体持ってないですもんね」
「まいまいは概念☆」
「でもこの間交通事故で死んじゃいましたよね?パパが『愛する真衣子へ』って手紙書いてましたけど」
「まいまいは死んだから自由になれたんだよー♪身体を失くして、空間と時間から解放されて、ずっとパパと一緒にいるの☆」
「あー、それってもしかしたら、もう死後の世界なのかもしれませんね」
「んー?」
「お、さっそくお便りが来ましたね!栃木県在住のまいまいのパパさんから!」
「パパ!」
「どれどれ…『真衣子、会いたい』だそうです!」
「まいまいも会いたいよ、パパ」
「関係ないお便りはご遠慮願いたいですねえ。次は…涅槃在住、観音様さんからのお便りです。ありがたいお話が聞けそうですね!」
「かんのんっ!」
「さて…『死後の世界で人は救われます。生きた時間の全てが、そこでは肯定されるのです』。あああ、ありがたい…」
「観音様もここに呼ぼうよー☆」
「それはちょっと…でも、なんだかひとつの正解を頂いた気がしますね。死を知ることができない僕たちは、今を生きるしかないですし、それはきっと死んだ後も否定されるものではないのかなって」
「精一杯生きなきゃね♪」
「さて、今日はこの辺りでお開きにしましょうか。次回のテーマは『男女の友情』です!お便り待ってます!」
「待ってます!」
「それでは最後に芭蕉のコーナー『今日の一句』で締めて頂きましょう!芭蕉さんどうぞ!」
「人はみな 母の子宮に 還りゆく」
「ありがとうございます!それではまた来週!」
「また聞きに来てねー☆」