まつをのラジオ:おっぱい

「おっぱい!」
「おっぱい!!」
「今回で5回目を迎え、1ヶ月の長寿ラジオになりました、まつをのラジオパーソナリティのまつをです!」
「もう1ヶ月経つんだねー☆」
「みなさんのおかげでいい感じに自分と向き合えてますし、みなさんにも楽しんで頂けていたら幸いです!ところでまいまい、studio molの新PVは見ましたか?」
「見てない!」
「リンク貼っときますね!!」

【PV】dead-end / studio mol

「というわけで、今日のテーマはおっぱいですが…まいまいは何カップですか?」
「セクハラ!!」
「今さら何言ってるんですか…」
「んーとねえ、BよりのCよりのDカップかな?☆」
「めっちゃ盛りますね!!!」
「まいまいはまだまだこれからぽいんぽいんになるもん💢」
「おっぱいって30代くらいまでは大きくなったりするらしいですね〜」
「ほんとに!?」
「もちろんAカップの人がFカップに!とかは無理な豊胸でもしないと厳しいでしょうけど。多少上下はするみたいですよ」
「なるほど…!」
「でもねえ、僕思うんですよ。不公平だなって」
「どうしたの急に」
「貧乳って、それなりのニーズがあるじゃないですか。その点、短小のニーズは無い」
「あぁ…。でも、おっきすぎてもヤかなぁ」
「それだってどうかと思いますよ。爆乳のニーズはあるのにデカチンのニーズってないじゃないですか。特に女性からのニーズはなくて、デカチンで犯されてる女の子を見て男が喜ぶくらいですよ。ふざけてる」
「どんまいまい…」
「男性が欲求に素直な分、ニーズも多様化してて。男性のニーズは大して多様化してないなって」
「でもでも、草食系男子とか流行ったぢゃん!」
「『自己主張の弱い都合の良い男』を言い換えただけでしょう。多様化なんかしちゃいませんよ」
「むぅ…」
「とある調査によると『20代女性の74.5%が「セックス経験あり」と回答したのに対し、20代男子の経験率は59.4%』らしいですよ。ふざけてる」
「どんまいまい…」
「さてさて、少し熱くなってしまいましたね。今日のお便りに行きましょう!めんへらさんから『どうしたら胸が大きくなりますか。』」
「まいまいも知りたぃっ!」
「これはですねー、言わずもがな、健康な生活です。身長にせよおっぱいにせよ、遺伝以外の理由で変化の要因となるのはあなたの生活のみです」
「まともなことゆってる…」
「具体的には、栄養バランスの取れた三食、適度な運動、十分な睡眠時間です。あとは、おっぱいの大きさには女性ホルモンがかなり影響しますね。乳腺や女性ホルモン等のキーワードで調べるといいでしょう」
「おっぱいおっきいよね?」
「そうなんですよね。揉めます。昔はコンプレックスでした」
「なんでおっきくなったの?」
「飽くなき女性への憧れと…あとは太ってたのが大きいですね」
「太ればおっぱい大きくなるかな!」
「太ったのちに痩せると大きくなることもありますが、その代償に乳輪がでかくなりますよ」
「え"」
「僕が実例なので間違いないです」
「それはイヤ…」
「ねー。さて、先ほども言いましたが女性のニーズは本当に多様化しています。皆さんがどんなおっぱいでも、受け入れてくれる人がきっといますから自分を否定しないで下さいね」
「一緒にぽいんぽいんになろうねっ☆」
「どうしても自信が持てない時は僕とヤりましょう」
「短小がなんか言ってる〜(ゎら」
「おい」
「そろそろ締めよーよ♪」
「…はい。来週のテーマは『初恋』です!」
「きゅんきゅん❤️」
「それでは今日も一句、お願いします!」
「も〜いやあ! 叫ぶ巨乳の 牛女」
「ありがとうございます!それではまた来週!」
「ばいばーいっ☆」

まつをのラジオ:studio mol初のアルバム?!

「こんばんは!自慰以外の楽しみが欲しい、まつをです!」
あいまいみーまいまいだよー☆」
「ここのところひどく寒くなりましたねえ」
「さむいねー」
「僕冷え性なので、この季節はとっても辛いんです」
「わかる!まいまいも冷え性だよ!」
「せっかく溜めに溜めた欲を放とうというのに、手が冷たくって…『おちんちん冷たいよぉっ!!!』って泣いてます」
「…」
冷え性に一番効くのは筋肉を付けることみたいですよ」
「まいまいは、むきむきになる!」
「さて、今日のテーマは『studio mol初のアルバム?!』です!」
「ついにできたんだねー!」
「ありがとうございます!聴いてみてどうでした?」
「んーとねー、下ネタがない!って思った!」
「そうなんです!そうなんです!今回は下品な歌詞は一切無くしました!ストイックな作品になってるんです!」
「まいまいもボーカルで参加したんだよー☆」
「その節はありがとうございました!おかげさまで可愛い曲からかっこいい曲まで色々と収録することができました」
「タイトルの『365』にはどんな意味を込めたのー?」
「そのまんまですが、1年間の365日の日々というのがアルバムの主なテーマで…僕が毎日何を思いながら生きているのか、そういうことと向き合いながら楽曲を作ったんです」
「なるほど♪」
「本当は全曲解説したいぐらいなんですが、まだ発売もされてないので我慢してます!ちなみにまいまいはどの曲が好きでしたか?」
「まいまいはねー、『もしかして』かな!6拍子7拍子の繰り返しを違うリズムで捉えてるのが面白かった!」
「よく聴いてんなおい」
「お気に入りの曲はー?」
「僕は『ウユニの星空は』ですかね!」
「未来の自分から手紙が来る曲だ!」
「ですです!一番自分の心の内を曝け出せた曲なんです。逆に、聴いてて一番辛くなるのもこの曲ですね。お、お便りが来ました!」
「かも〜ん☆」
「東京都在住のY.W.さんから『アルバムはいつ発売なんですか』だそうです!」
「いつなのー?」
「12月1日の予定です!iTunesでのみ販売する予定です!」
「お金取るの?!」
「取ります!儲けたいわけじゃないんですが、こう、時間と精神をかなり削りましたし、松銀エンジニアリングのhara。さんにマスタリングもお願いしてて…」
「つまり…?」
「つまり、僕はこの作品に賭けてるんです。これで駄目なら音楽やめちゃおうくらいの気概でいるんです。無料で配布して、友人が聴いてくれて、はいハッピーでは終わりたくないんです」
「へー」
「お、もう一枚お便りが来ましたよ。東京都在住のY.W.さんから『無料で聴きたいです』」
「同じ人だねー」
「実は、PVも作っていて。一番シンプルでいい感じの『dead-end』という曲に、です」
「またイラストや?」
「イメージが合わなすぎるので今回は違います!変えます!Y.W.さん!来週11月19日に公開するPVを見て、興味を持って頂けたら、ぜひアルバムも聴いてみてくださいね!」
「ぜひぜひ☆」
「それではそろそろ締めましょうか!来週のテーマは『おっぱい』です!」
「ばいんばい〜ん」
芭蕉さん、いつものお願いします!」
「湯たんぽを 当てておちんぽ ヌックヌク」
「うわぁ…」
これはひどい!また来週!」
「寒さに負けちゃだめだよー☆」

まつをのラジオ:夢について

「こんばんは、第三回放送、まつをのラジオパーソナリティーのまつをです!」
「ま〜いまい♪ま〜いまい♪おさーるさーんだよ〜♪」
「今日も元気モリモリ、高森浩二!」
すき家だね〜」
「というわけで今日はすき家からお届けしてます」
「飽きないの?」
「正直に話すと、そろそろコンビニのパン・弁当、コーンフレーク、すき家以外のものが食べたいですね」
「まいまいが作ってあげるよー☆」
「料理できるんですか?」
ねるねるねるね♪」
「…はい。というわけで今日のテーマは『夢について』!」
「まいまいの夢はパパのお嫁さんだよー☆」
「今日のテーマはですねー、寝ているときの夢についてなんです」
「あら〜」
「まいまいは夢見ますか?」
「あんまり見ないかな!起きたら全部忘れちゃうよ」
「そういう方も多いですよね。僕、すごくたくさん夢を見るんです。それに起きてもわりと覚えてる」
「どんな夢見るのー?」
「サークルの友達と旅行に行ったり、部活の後輩に楽器を教えたり、初恋の人と下校したり、家族で夕ご飯を囲んだり、」
「待って待ってそれ思い出話ぢゃなくて?!」
「違うんですよこれが。夢なんです」
「日常よりもリア充してない…?」
「そうなんです。僕、日々の生活より夢の中の方が充実してるんです。普段から人より多く、例えば18時間とか寝るんですが、それを話すともったいないって言われるんですよね」
「もったいない…」
「でも、起きてる間より寝てる間の方が楽しいですし、夢の方が大事で。起きてる間のことは割とどうでもいいんです」
「それじゃもうどっちが現実かわかんないね」
「まさに!今起きてるこの時間の方がむしろ夢なんじゃない?ってよく思います」
「なんか暗い気分になるから手紙読もーよ☆んーとねえ、千葉県のふしだらなぐでたまさんから!『彼氏にフラれる夢を見ました。これって正夢ですか?』」
「正夢ですね」
「こら!」
「いや、冗談ですけど、冗談じゃないですよ」
「むむ〜!」
「フラれる夢を見るってことは、ぐでたまさんの中に『彼氏にフラれるかもしれない』という不安があるからです。そういう不安を感じるような何かが、彼氏との間にあるんじゃないですか」
「んんん、そうなのかも…」
予知夢だと思って、そうならないよう努めた方がいいと思います。まずはその不安がどこから湧いたものなのかの究明ですね」
「まだ間に合うよ!大丈夫!元気出して!」
「それでもダメだったら僕と付き合いましょう」
「こら!」
「お、もう一通来てますよ。栃木県在住、まいまいのパパさんから、」
「パパ!」
「…『死んだ娘と夢でも会いたい。どうしたらいいだろうか』」
「も〜パパったら///」
「コメント控えさせて頂きますね!」
「パパの手紙は大事に取ってるよー☆」
「さて、今週はこの辺りにして…来週のテーマは『studio mol初のアルバム?!』です!」
「うわっ!宣伝だ!」
「しーっ!それでは芭蕉さん、いつものお願いします!」
「夢に見た 幼女の胸に 夢精した」
「お!ボイン合わせですね!」
「ばいんばい〜ん♪」
「それではまた来週!」
「また一週間元気に乗り切ろうねー☆」

まつをのラジオ:男女の友情

「こんばんは、みなさまお待たせしました!」
「誰も待ってないよー☆」
「まつをのラジオ、JKの香りは命の泉、パーソナリティのまつをです!」
「ポン・デ・まいまいだよー♪」
「そう!前回放送で非難轟々だった自室を離れ、今日は近所のミスタードーナッツからお届けしてます!」
「してます!」
「リスナーの皆さんにもぜひお見せしたいんですが、今日のまいまいはポン・デ・リングをあしらった帽子を被ってるんです。妄想の産物ながらなかなか可愛くって」
「ぽぽぽぽ〜ん♪」
「さて、今日のテーマは『男女の友情』です!実は僕、こう見えて結構異性のお友達が多いんですよ」
「嘘つけ☆」
「ほんとですよ!一緒に買い物したり、お食事したり、悩みを相談したり」
「みんな優しいねー」
「その優しさにつけ込んで一発ヤれないかと虎視眈々とちんちんをパンパンにしてるんですけどね」
「死ねばいいと思う☆」
「それは冗談として、まいまいはヤレボってご存知ですか?」
「『やれやれぼうや、おなかが減ったのかい?』みたいな!」
「違いますねー。ヤレボとは『ヤれるボーダーライン』の略で、ヤれと言われたらこの人とヤれるかヤれないか、という指標のことなんです」
「ええぇ…」
「女性は知らない方も多いみたいですね。男性は女性を見るとき意識的に、あるいは無意識に自身のヤレボを越えているかを評価してます」
「『好き』とは違うの?」
「これが違うんですよ。恋愛感情とは全く別ベクトルで、ヤレボが評価されるんです。この辺りが女性の感覚とズレがありますよね」
「そうだねー。女の子のそういう感情は恋愛と強く結び付いてることが多いんじゃないかなあ。行為は苦手でも好きな人とはしたい、とか、好きな人にしか身体は許せない、とか」
「まいまいはどうです?」
「パパなら身体も許せるよ☆」
「…」
「んー?」
「妄想してたらパンパンがちんちんしてきました」
「うわぁ…」
「こういう感覚の違いが『男女の友情』を複雑にしてると思うんです」
「どうしたらいいのかなー」
「そ!こ!で!セフレですよ、セフレ」
「そんなブログ書いてたね…でも、それは女の子の負担が大きいよ。だって好きじゃない人とはしたくないもん。仲良しでも」
「確かに。女性においしい思いがなければ支え合える友達とは言えませんね…」
「そうそう!」
「んん、ここでお便りが届きました!東京都在住、紺野真琴さんから『ずっと友達だと思っていた男の子に告白されました。もうどうしたらいいか分かりません』」
「もしかして…!」
「これは…!」
「「未来で待ってる」」
「僕、思うんですよ。友達に対して付き合いたいという気持ちが少しでもあるなら付き合えばいいんじゃないかって。それでうまくいかなかったらまた友達に戻ればいいわけで。それに、付き合いたい気持ちがないなら振ればいい」
「ふむふむ」
「そんなことで関係がギクシャクするなら、その程度の友達ということですよ。だから僕は、真琴さんにも怖がらずに自分の気持ちと向き合ってほしいなって。きっと千昭さんもそれを受け入れてくれるから」
「まいまいは功介さんが好き!」
「僕は美雪ちゃんを犯したいですね」
「お金かなー♪」
「ん?」
「身体を許すなら、お金が欲しいかな♡」
「男女の友情を成り立たせるのは援交ということですね?!」
「ぽぽぽぽ〜ん♪」
「支離滅裂になってきたのでそろそろ締めましょう!次回のテーマは『夢について』です!お便りお待ちしてます!」
「ちゅんちゅん☆」
「それでは芭蕉さん、『今日の一句』お願いします!」
「仲良しの 女性に生で 中出しを」
「ありがとうございます!それではまた来週!」
「みる!みる!みるもでポン♪」

まつをのラジオ:死んだ後の世界

「こんばんは〜!いよいよ始まりました、まつをのラジオ!わたくしパーソナリティのまつをです!」
「まいまいだよー☆」
「始まりましたねえ!始まってみてどうですかまいまい」
「んー、スタジオが汚い!かび臭い!」
「僕の自室ですからね!」
「よくこんなところに暮らせるね…」
「住めば都ですよー。まいまいのお部屋はどんなです?」
「まいまいのお部屋はねー、壁と天井一面にパパの写真が貼ってあるよ!」
「うわぁ…」
「パパ…好き…」
「さてさて、まつをのラジオは毎週土曜の夜10時から、皆さんの悩みや気になること、今話題のあんなことやこんなことを紹介する番組です」
「ひゃっ!」
「どうしました?」
「今、黒い影がひゅって…」
「あはははは。それでは始めましょう。今日のテーマは『死んだ後の世界』!さっそく重いですね!」
「天国かなー☆」
「死んだ後の世界は誰も見たことが無いですし、宇宙や深海と違って絶対に帰ってこれませんから気になりますよね。僕はね、『無』だと思いますよ」
「むむむ?」
「寝てる時って、夢でも見ていなければ何も無いでしょう?寝て起きると、まるで時間が飛んだみたいな。あの何も無い状態が続く、そしてそれを僕たちは意識できない」
「難しくて分かんない☆」
「まいまいは天国があると思いますか?」
「あるんじゃないかなあ。まいまいは死なないけどね!」
「肉体持ってないですもんね」
「まいまいは概念☆」
「でもこの間交通事故で死んじゃいましたよね?パパが『愛する真衣子へ』って手紙書いてましたけど」
「まいまいは死んだから自由になれたんだよー♪身体を失くして、空間と時間から解放されて、ずっとパパと一緒にいるの☆」
「あー、それってもしかしたら、もう死後の世界なのかもしれませんね」
「んー?」
「お、さっそくお便りが来ましたね!栃木県在住のまいまいのパパさんから!」
「パパ!」
「どれどれ…『真衣子、会いたい』だそうです!」
「まいまいも会いたいよ、パパ」
「関係ないお便りはご遠慮願いたいですねえ。次は…涅槃在住、観音様さんからのお便りです。ありがたいお話が聞けそうですね!」
「かんのんっ!」
「さて…『死後の世界で人は救われます。生きた時間の全てが、そこでは肯定されるのです』。あああ、ありがたい…」
「観音様もここに呼ぼうよー☆」
「それはちょっと…でも、なんだかひとつの正解を頂いた気がしますね。死を知ることができない僕たちは、今を生きるしかないですし、それはきっと死んだ後も否定されるものではないのかなって」
「精一杯生きなきゃね♪」
「さて、今日はこの辺りでお開きにしましょうか。次回のテーマは『男女の友情』です!お便り待ってます!」
「待ってます!」
「それでは最後に芭蕉のコーナー『今日の一句』で締めて頂きましょう!芭蕉さんどうぞ!」
「人はみな 母の子宮に 還りゆく」
「ありがとうございます!それではまた来週!」
「また聞きに来てねー☆」

今を生きる君へ

「女ってほんと金がかかるよな。デート代とかプレゼントとかさ。無駄金もいいところだよ。もっと自分のために使えば良かったわ」

そう言って悪態を吐く友人を見て、僕はとても悲しくなってしまった。友人は昨晩、二年半連れ添った彼女と別れた。彼女は浮気をしていたそうだ。

悲しかったのは、彼が浮気をされていたからではない。別れた彼女に悪態を吐いていたからではない。

彼が、過去の自分を否定してしまったからだ。

デート代は自分持ちだったと彼は言う。そして、勿体無いことをしたと加える。プレゼントにたくさんお金と時間をかけたと言う。そして、無駄なことをしたと加える。

励ましながら、頷きながら、僕は思い出していた。あの日、君はそれを無駄だなんて思っていなかった。

先週仙台まで遊びに行ったんだ。
二周年記念で指輪を渡そうかな。

そう話す君は、とても楽しそうだったじゃないか。君は、大好きな人と過ごす時間にその対価を支払うことを厭わなかった。彼女と遊びたいと思い、自分が多く負担することを甘んじて受け入れていたはずだ。否、進んでそうしていたのでは。プレゼントにしたってそうだ。彼女を想う気持ちを形にしたかったのだろう。

結果だけを見つめて、彼は過去の自分自身の気持ちを否定してしまった。続けて彼は話した。

「もう一人でいいや。自由だし、楽だしな」

諦観を語る彼の顔は、笑顔の中に苦々しさを携えていた。彼は今回の苦い経験を、数学的帰納法を用いて未来にまで適用してしまっていた。彼が自由を求めているようには到底思えなかった。ただ、未来に期待することに、未来の自分自身に否定されることに怯えているように見えた。

残念ながら、未来は僕らの手の中になどない。人生は自分だけが描けるキャンパスではない。それはいつだって他者によって、外力によって形を変えてしまうものだ。

僕には結婚を考えた女性が二人いた。そのうちの一人は五年間付き合った。好きだった。婚約をした。籍を入れる前日に、僕の前から消えた。あなたを心から好きと思えたことは一度もなかった。置き手紙にはそう書いてあった。

結果だけ見れば、確かに僕は惨めかもしれない。だが、あの時の自分は、あの時の精一杯を生きていた。どんな結末が待っているかも知らずに、彼女を愛していた。

そして、僕は、幸せだった。

正直に話せば、彼女とのバッドエンドは僕を絶望させた。何も信じられなくなった。全てが虚しくなった。

それなのに僕は、自分が幸せだったことだけは、どうしても否定できなかった。だって、僕は幸せだったのだ。過去の自分の思いを、今の自分の勝手で改竄することはできなかった。

結婚を考えたもう一人の女性を、僕は同じように愛した。過去の暗い思い出は未来の景色を歪め僕を臆病にさせたが、その人を想う気持ちは本当だった。先月、僕は彼女と結婚した。

幸福なことに、未来は僕らの手の中になどない。人生は自分だけが描けるキャンパスではない。それはいつだって他者によって、外力によって形を変えてしまうものだ。

だから僕たちは、自分自身を生きるしかないのだ。

親友の口癖をよく思い出す。

「過去の自分を否定するな。未来の自分に怯えるな。今の自分を生きろ」

魅力的な人だった。尊敬していた。18歳のとき交通事故で死んだ。あまりにも儚く、美しい人生だった。

僕は親友よりもずっと迷いながら生きている。腐ることもよくある。そんな僕の言葉は響かないかもしれないが、君に伝えたい。

愛した人に裏切られた君へ。
今を生きる君へ。

過去の自分を否定するな。
未来の自分に怯えるな。

今の自分を生きろ。

僕は僕を許せなくて、それは僕が僕になった時からずっとのことで、僕は僕が嫌になって違う人間になりすましたり僕じゃない誰かになろうとしたけれど、どうしたって僕は僕でしかなくて、僕を許せない僕を否定する僕も僕で、もうどうしたらいいのかも分からなくなって誰かに僕を許して欲しくなって、優しい人が、心ある人が時に僕を許してくれて、それでも僕は僕を許せなくて、結局はその人さえも否定してしまう。

僕が僕でなくなる方法は、考えても考えても見つからず、僕を否定するための自傷行為をするのも僕で、僕を殺す僕も僕で、そうやってついには命を捨てたところで誰かの中の記憶に残る僕は僕であり続けてしまうという逃げ道のない絶望だけが僕を取り囲んでいる。

それでも絶えた僕はいつしか誰からも忘れられて、ようやく僕が消えることで僕は僕から解放されて無になれるのだと、それだけが救いなのかもしれないと考えていたりもする。

本当は、本音では、僕は僕を許せるようになりたくて、だから死を迎え入れられないのだろうかとか、僕はどうして僕なのだろうかとか、ぐるぐる考えているうちにここまで生きて、未だに僕は僕のままだ。

そんな僕を、僕はまだ許せない。