僕は僕を許せなくて、それは僕が僕になった時からずっとのことで、僕は僕が嫌になって違う人間になりすましたり僕じゃない誰かになろうとしたけれど、どうしたって僕は僕でしかなくて、僕を許せない僕を否定する僕も僕で、もうどうしたらいいのかも分からなくなって誰かに僕を許して欲しくなって、優しい人が、心ある人が時に僕を許してくれて、それでも僕は僕を許せなくて、結局はその人さえも否定してしまう。

僕が僕でなくなる方法は、考えても考えても見つからず、僕を否定するための自傷行為をするのも僕で、僕を殺す僕も僕で、そうやってついには命を捨てたところで誰かの中の記憶に残る僕は僕であり続けてしまうという逃げ道のない絶望だけが僕を取り囲んでいる。

それでも絶えた僕はいつしか誰からも忘れられて、ようやく僕が消えることで僕は僕から解放されて無になれるのだと、それだけが救いなのかもしれないと考えていたりもする。

本当は、本音では、僕は僕を許せるようになりたくて、だから死を迎え入れられないのだろうかとか、僕はどうして僕なのだろうかとか、ぐるぐる考えているうちにここまで生きて、未だに僕は僕のままだ。

そんな僕を、僕はまだ許せない。