ここのところ

ここのところ、特に嫌なこともなく平穏な毎日が続いていた。いよいよ、自分も幸せになれるのかもしれない、なんてことを考えていた。

それが突然、今日になって死にたい以外の感情を失ってしまった。さらに悪いことに、誰かを殺したくてしょうがない。死ぬか殺すか、しか考えられない。

一本タバコを吸って、なぜ今日になって唐突にこのような気分になってしまったのか考えてみた。考えれば考えるほど、理由がないということが明確になってしまった。

昔からそうなのだ。突然何もかも嫌になる。感情が死ぬ。ともなって身体も死にたくなる。やり場のなさから他人を殺したくなる。

何がそんなに不満なの?と、人によく言われた。私の方が大変だよ、僕の方が辛いよ、といった言葉も付け加えられていた。正直に言って、何の不満もない。どこを探しても、自分がこんなにも不幸せを感じる理由がない。

かといって病気と言えるほど精神が参っているわけでもない。なんなんだ、と思う。どうやら自分を不幸せにしているのは自分自身であるということは間違いないみたいだ。

毎週書いていたラジオを書けなくなってしまったのはこれの前兆だったのかもしれない。ここのところ一句もちっとも思いつかない。ああもうなんか全部だめだ、という気になる。こういうとき、他人の助言は雑音になる。うるせえ死ね、と思う。救いようがない。

そう言えば、今朝見た夢は幸せだった。昔好きだった人にバレンタインのプレゼントをもらった。いい感じのヘッドホンだった。風が強かった。曖昧な記憶の中に、彼女のなびく髪が美しかったことだけは鮮明に思い出せる。

君は昔に囚われている、と先日友人に言われた。確かにその通りみたいだった。未来に夢も希望もなければ、現在は死にたいだけ。となれば過去に縋るのも無理はないだろう。

ずっと眠っていたい。ずっと夢を見ていたい。夢の中でなら、幸せになれるのかもしれない。起きることがなければ、つまりは、死ぬことができれば幸せになれるのかもしれないな、なんて。